「あの時、君の言う通りだった・・・」
業界の品評会で会うたんびに私に放つ某卸売業の社長さんのこの言葉、世襲ではなく社内競争で勝ち取った内部昇格で先代から経営を託された者として、多くの社員を抱え、まさに順風満帆に積上げていた歴史をわずかの期間で崩壊させてしまった・・・後悔したくてもしきれぬ思いが強く込められ、聞けば私自身も心がとても痛くなるのでした。
遡ることその3年前のある日あるタイミングで、当時の当社営業担当から「これから取引が増えるので与信枠の増枠をしたい」との相談をもらいました。私も実は、決算書を毎期頂いていて、その中に前々から気になっていた事があったものの、実に説明が難しく確信も得られないため、様子見をしていたのですが、いよいよこの疑問を埋める良いタイミングととらえ、営業側と打合せをする事にしました・・・。
会議の席で私が開口一番、「いやー、疑問というのは、実はアラーム分析システムで毎期アラーム値が出るんだよね」「つまり資金繰が苦しい状態が続いている“可能性が高い”と予想されるという事ね」 と営業側に告げましたところ、彼らは「そんな馬鹿な!!」「資金繰りが苦しそうな社内の雰囲気など微塵も感じられないですよ!!」と語気を強め「あんた、これからアゲアゲ体制を築くために相談したのに、なんで?」という顔で皆シラケ状態になってしまいました。
私 :「とは言ったものの、何が原因なのか分からないんだよね。」
営業:「なにそれ?単なるシステムの勘違いエラーじゃないですか?」
私 :「(勘違いエラーってなにそれ?)そうだと良いんだけど、そうも言えない評価なんだよね、39点」「どうも売上債権(売掛金+受取手形)と買入債務(買掛金+支払手形)のバランスが悪いというか、不安定な点にシステムが反応している感がある。」
営業:「39点ってギリギリアラームじゃないすかー、40点以下がアラームって事っすよね?」
私 :「40点以下は破綻状態。でも年度によっては41点になる事もある。実に悩ましい。」
当社の使っているアラーム分析システムは予測が外れた事はないんだけど、デジタルな定量アウトプットはやはり、際どい境目評価は皆を困らせる。でもこんな微妙な点数を連年出し続けた事もない。
営業:「いったいどっちなんすかー?もー(困+怒+呆)。」(②へつづく)