信金トップのご乱心と言うべきへんなゴタゴタはすぐに解決しました。社長が辞めなきゃいけない事になったからです。片腕ともいうべき役員が、今回のスキームが気に入らなかったのか突然辞められ、業界中にある事ない事、噂をばらまいたのを機に、それまで秘密裏に進められていた私的整理を知らない社員達が、いきなりオーナーが変わるとか、給与カット等待遇を変えられるとか言われ、そこまでに至った事情や社長の気持ちなど理解できず足元から不協和音が出てしまいました。それに乗じてそれまで言いくるめられ黙っていた他の金融機関からも代表責任を問う声が大きくなり、スポンサーも引継ぐ課題の内容から代表交代を考えざるを得ないとの声が上がってしまったのでした。
社長:「前々から覚悟しておりましたのねん」だから「社長は退きます」
私 :責任は社長だけにあるわけではありませんが、精神的支柱という事を差引いても不協和音が大きくなってのご退任は残念ですね。」
社長:「幹部や社員には気を使ってきたつもりですが、ワンマンで皆を有無を言わさず引っ張ってきたツケですわ。」
そういいながらも、社長はやりたい事をやり切ったというサバサバな感じで、今後は妻と海外旅行などして二人の時間を作り、仕事は年金の穴埋め程度に個人として営んでまいりますと言い、あっさり電話を切ってしまいました。
借金を半分踏み倒したので実質は倒産ですから仕方ないなと思うのでしたが、当初は嫌いだった私も社長の潔さに絆されて、なんだか人的信用というのか魅力と言うのか、社長個人に対して情けを感じている自分に、またもや「イカンイカン、与信管理実務者は情を持つのはダメ、冷静でなきゃ」と言い聞かせるのでした。
ボロ着先生はと言うと、とっくに次の仕事に移り忙しくされているとの事でした。こんな大変な仕事をいくつも矢継ぎ早に片づけていく姿に、服なんか買う暇が無いくらい充実しているんだろうなぁと思わせ、「自分が会社やって倒産するときゃ、この先生に頼もう」と思うと同時に、私と同様に考える債権者は多いのだろうなと思うのでした。
そこで社長にボロ着先生とはどこで知り合ったのか伺ったのですが、「特に何もなく、知り合いのつて」との事でした。う~ん、ルールを守って真面目に気を配ってやってきたのに危機に陥り、頼った先生がダメであっさり破産してしまう人もいれば、人の迷惑を考えずやりたい放題だった人が良い先生に恵まれ再生する。良い弁護士さんとのめぐり逢いと言うのは運命なのか何なのかな?と分からなくなりました。(ご参照:倒産列伝003~君の言う通りにしときゃ良かった!!)
ボロ着先生には今後、ますますのご活躍やご出世、社長には残りの人生が幸せである事を願いつつ、解熱剤を飲んで、寝床に入り直すのでした。
あ、社長は会社と関係なくなっちゃたんだ。社長とご家族の不動産につけた担保(根抵当5000万)を解除しなきゃ。
(おわり)
【与信管理実務者のまとめ】
・できる倒産村(倒産事件専門)の先生(弁護士)は、まず段取りが素晴らしい。
・できる倒産村の先生は、身なりなど気にしない。
・できる倒産村の先生は、誠実で勇敢である。
・できる倒産村の先生は、債務者代理人になっても敵対する債権者をもファンにし、将来顧客にする。
・危機に逼迫した段階で、いい先生に出会えるのはまさに運の様な気がする。したがって良い先生は普段から目をつけておくのがよろしいかと考えます。
・再生型の成否は先生の実力次第。