なぜ?当社の店舗がターゲットとされているのではないか?など不安に思えるところはありましたが、それを考える間もなく、周辺では人身事故やボヤで救急車や消防車が出動したり、居酒屋でやくざ者が泥酔し暴れ、ニュース中継になったり、小さいながらも妙に不自然な、このあたりの印象が悪くなる様な出来事が続く様になりました。
当社側は、現場子会社が前面に立って彼らに対応する事になりました。先方の弁護士は、まず彼らにとって現状の不利な契約条件を突いてきました。それに対し、当方の子会社は「一歩たりとも譲らない」という姿勢で対峙し数回の書面でのやりとりを行い、先方が妥協案を出してくる前に「グループ方針で退去する事になった」と通知し、一方的に撤退を告げたのでした。
先方弁護士も、いろいろ代替案を出して来ましたが、撤退なら仕方ないとあっさり了承し合意解約が成立しました。この間、一切の会話はせずに徹底した書面のみのコミュニケーションを心がけ、先方もこちらが察知しているとは思っていないようですぐさま、同業他社に売込みをかけたとの情報が入りました。
面食らったのは着任数週間で理不尽に任を解かれた女性店長さんはじめ従業員の人達、厳しい教育訓練をうけながら、その成果も出ていたのに突然、撤退の意思決定。納得がいくはずはありません。
しかしながら、本当の理由を従業員のみんなに伝えるわけにはいかず(伝えたら、従業員から風評が漏れたり、SNSなどで広がってしまうので)、ここは子会社の経営陣に説得を任せるしかなかったのですが、なんとか了承してくれた様ですが、相当な失意に陥れてしまったのは確かでしょう。
その後の、あの物件Aですが、業界の人づてに聞いたところ中々テナントが決まらず、幽霊屋敷の様になったとの事でした。別の上層階のテナントが長い争いとなり真っ向から裁判をしていたとの事ですが、まともに相手にするだけ危険だし時間と労力の無駄ではないかと思いました。
よほど、周辺の地上げなども含め再開発はおいしい話だったのでしょうか。どうやら当社が狙われていたわけではなさそうでした。追い出そうとしていたわけでもなかったので目的は未だ不明です。混乱に乗じて一儲けのノウハウがあるのでしょうか、不気味です。
一見、反社とは関係ない様に思っていた不良ファンドも、いつの時点かで狙われて実質乗っ取られ、脅され、操られてしまったのでしょうか?はたまた、もともと企業舎弟で、精神的つながりという決して反社チェックなどの表には出てこない“絆”をもってミッションを達成するために銀行や我々の様な堅気の企業に近寄ってきたのでしょうか・・・?様々な混乱をチャンスと捉えて、嵌めて脅す相手を見つけ見方や手下にしたり利用するのは大得意なのでしょう。
与信管理実務者は、ハロー効果に惑わされず、必ず自分の目で確かめる事が大事なのと、判断の下地とするため広範囲に渡る事例研究を行い、あわせて常に直感、洞察力も鍛える事が必要だと思う次第でした。
今回の回避戦術で、再び会社は守られたと思います。でも社会的には、オープンしたばっかりの店舗を何らかの理由で不可解な撤退を行ったと映っただけで波風立たせずおさめた、まぁそれで良かったと思うのです。現にグループトップからも異論を唱える声は聞こえてきませんでした。
そうなればなったで、グループ内「最悪の事態となった時」の事を判断できなかった人達は、私の独断の様な意見にその賛同を現場から得たから良かったものの、「知っている人だけで優越感に浸っているのではないか」と疎ましく思う人も出てくるのは仕方のない事だったでしょう。妄想だと揶揄する人もいました。そして撤退判断の犠牲になった従業員達には申し訳なく謝っても謝り切れないと思うばかりですが、彼らが心底納得することはなく結果、私が褒められたり感謝されたりする事も全くないのですが、それで良いのです。
某役員がそんな私を見てこう言われました「誰か必ず見てくれている」自分の人生はそれを信じるしかないと思うのでした。
しばらくして、その大物反社は、親分にあたるそのまた大物反社と実質スポンサーなる人物(たぶんオジキ分)が、別件逮捕された事により、別件の別件みたいな少し無理やり感のある理由で逮捕されテレビに映り、確かにこの世に存在する者だったという事が証明されました。見た目は紳士だけどもやはり目つきは鋭く高級スーツの上着を脱ぐと、白い清潔感のあるワイシャツの下に掘られた暗黒世界の紋様が透けて浮かび、それを目にした人は彼の豹変ぶりに戸惑い、判断がつかず逃げられなくなるばかりか「自分にはいい人だ」との錯覚に陥らされ暴力の恐怖と人徳の飴を交互に見せつけられてまともな精神を失い操られてしまうという、実に人心を弄ぶのは巧みの極みとの事で数々の犠牲者を踏台にしてのし上がってきたとの事でした。やはり、我々など一切関わってはいけない!!改めてそう思うのでした。
警察はこんな厄介な反社、無理やりでも逮捕したくなるでしょうね。感謝しかないです。
(おわり)
【与信管理実務者のまとめ】
●必ず自社の経験と先輩たちの口伝の情報は、定性情報であってもデータベース化し永久保存するのが望ましい。人任せはダメ。
●与信管理実務者なら、昔馴染み、東大卒の紳士、上場企業の代表であっても、つまりどんな相手であっても反社チェックは行うべきで、ハロー効果に惑わされてはいけません。
●反社にとって、法律はこれに触れたら捕まるという線引きにしかならず、そもそも法律は守る意志などありません。なので会社(法人)のつながりを追うときは、会社法のルール(物的系列)などよりも、人、物、金そして“精神的つながり(いわゆる盃のつながり)”で追うのが望ましいと考えます。また私は若いころ「反社は法の外の人々なので取合いません」というエリート弁護士さんに会った事がありますが「法が通用しない連中には弁護士も無力です」と言うのです。「単に暴力が怖いだけやん」と突っ込みたくなりました。でも一理あって、敢えて仲間になったり、仕事をもらって操られている飲んだくれ(アル中)弁護士が存在するのも見てきました。なので弁護士をつけてきているから反社など関係ないというのは全くの誤りなのだと思っております。弁護士すら社会を欺く道具にしようとする、人の作ったルールなど通用しないのです。