ということで、はっきりしないのなら直接伺うのが一番。昨日今日の付合いじゃないし決算書も頂いてるし今の取引枠にも担保を差出してくれている。増額について問題あれば、担保を追加で出してもらう交渉に切替えれば良い、という事になって先方様の事務所に出向く事になりました。
私が言い出しっぺだし、営業も「水を差したのあんただし、難しい事はわからないから全部お任せで、先方が怒ってもウチ(営業)のせいじゃないもんね。ケンカになったら止めに入るけど」という雰囲気になっていて、まあ仕方がない。つくづく与信管理者って嫌なキャラを演じる羽目になるなーと感じる瞬間でもありました。
実はこの取引先は、私も若い頃に担当をさせてもらっていたのですが、当時営業部長だったこの社長さんとはあまり気が合わず、半年程で担当替えとなってしまったあげく、私が新しく担当する取引先に「あいつはバカだ」と触れ回った様で、それを人聞きで聞いた私は大変ショックを受けたのでした。現任の担当取引先からは「ウチはそう思ってないからね」と慰められもっと落込んだのですが、商売感の優れた彼から見たらセンスの劣る私は確かにダメだったのだと思いますし、それを機に努力して周囲の信用を取戻す励みにもなった試練の先(人)でもあったのです。
社長はそんな小さい事など憶えてないでしょうし、私自身すでに過去の事で水に流してましたが、このポジションになった私でも今なお高い評価をしている様には見えませんでした。
社長:「よう、来たねー。」と気さくなお出迎え。「どうした?与信管理も連れて来ちゃって」
ここ近年の資金繰に悩む点はありませんか?と率直に伺ったら「確かに不安ないと言えばウソになるけど、銀行さんも呼べばすぐ支援するからと積極的だよ」「社債も引受けてくれたし」、取引銀行は地元の地銀をメインとして8行あり、うちメガバンクは3行もありました。総資産20億円に対し借入は社債も入れて13億円程度と借入依存度は高いですが、銀行さん達も同社の成長性を高く評価していて、近年の起業・ベンチャーブームもあって、前向きな資金には理解を示す傾向から確かに困らなさそうでした。
社長:「で?与信枠は増枠してくれるの?」(③につづく)