倒産列伝

倒産列伝014~バブル清算期の記憶2「独自の防衛策」①

 与信管理実務者を長年やっておりますと、いろんな経験を致します。  与信管理体制を構築するに、机上の理論を用いて早期に構築し上層の期待に応える事も大事ですが、それよりも経験で学んだことを優先し、じっくり考えてルール化していく...
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倒産列伝013~バブル清算期の記憶「鬼の形相、仁王立ちでお出迎え」⑤

 私のこの話で、大いに威圧してきた白髪の鬼のオーラが急速に萎んでいくのを感じました。  「ざまあみろ!!」  と言いたいところでしたが、私はそんな気持ちにはなりませんでした。  何十年もどっぷり浸かったこの仕事で...
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倒産列伝013~バブル清算期の記憶「鬼の形相、仁王立ちでお出迎え」④

鬼 :「世間では、次の破綻銀行はウチではないか?と持ちきりだね。」  「自覚していたんだ」と私は思いました。  地方都市とは言え首都圏の大都市、その代表的地方銀行は都市銀並みの権威を誇っていましたが、バブルに踊...
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倒産列伝013~バブル清算期の記憶「鬼の形相、仁王立ちでお出迎え」③

 通されたフロアに、もっと驚きました。  3階は銀行のフロアだったはずで、支店長とか二人目の鬼にお出迎えされるのかと思ったのですが、大きく拍子抜けしました。  なんとそのフロアには誰もいなかったのです。つまり、もぬけの...
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倒産列伝013~バブル清算期の記憶「鬼の形相、仁王立ちでお出迎え」②

 世の中でも大事としてニュースになった日本長期信用銀行の破綻、私の会社も当時お付き合いがありました。  バブル後期、元政府系銀行ということでヒラの融資担当でも当社迎賓用の車止めにハイヤーを止め乗り込んできて、商談が終わるまで...
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倒産列伝013~バブル清算期の記憶「鬼の形相、仁王立ちでお出迎え」①

 与信管理の実務では、当然に自分の属する会社よりも規模や年商、社会的地位の高い企業を与信する機会が多くあります。  今でもそんな企業相手には「審査の必要なし」としてスルーしてしまう審査担当もいる事でしょう。   ...
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倒産列伝012~華やかな世界、支えているのは⑪

 かなりの時間が経ったと思います。  破産手続が終了し、あの社長の会社は消滅しました。  あれから、あの社長の意識は戻ったのか、ご夫婦はどうなったのか・・・気がかりではありましたが 裁判所の手続きや債権者集会への...
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倒産列伝012~華やかな世界、支えているのは⑩

 「あなたの言う事はわかる気もしますが、元顧問だった知合いの弁護士に相談します。」  社長は、まゆ一つ動かさず、私にこう言いました。  そして、悲しそうな顔で話を続けました。 社長:「この部屋は、もともと妻が購入...
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倒産列伝012~華やかな世界、支えているのは⑨

 さて社長との話し合い、いよいよ担保を徴求しなければならない山場を迎えました。  当社が、先方を支援する具体的段取りとその誠意をご理解頂いた、このタイミングしかありませんでした。 私 :「それでは一連のこの件、...
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倒産列伝012~華やかな世界、支えているのは⑧

 「昔はいい男だったんだろうな」  ホリ深く端正、でもしわの多くなってしまった初老の真面目なお顔は、これまで傲慢な大手企業の無理な要求に、さんざん耐えてきたお顔なんだと思えました。  私どもの要求にも「わかった、その方...